[人類]

この世界の人類は、大きく3種に分けられます。
これは、日本人とアメリカ人のような文化や容姿の違いではなく、全く別の生物……ファンタジーの王道的表現を用いれば、人間・エルフ・獣人の違いのようなものです。
3種の人類とは、「ヒューマン」「ウース」「ラムバーダン」で、この中でごく普通の人間に当たるのが「ヒューマン」です。このため、本編でも「ヒューマン」のことを「人間」と表記しています。


[動物]

現代の地球とほぼ同じです。
菌類から始まって、魚類・両生類・爬虫類・鳥類・哺乳類まで多種多様に存在します。
中には実在にはない特徴(色・形・生態)をしているものや、常識外のサイズのものもいますが、いわゆるモンスターと呼ばれる生物は数少なです。(物語や伝承に登場するので存在はしているようですが、その姿を見ることはありません)
実際、遭遇しようものなら、人々はエイリアンを見たときのような反応をすることでしょう。
どれくらいの認知かというと、町中で「僕は昨日ドラゴンを見た」と言ったなら、笑われるか病院に連れて行かれる、というほどです。


[植物]

動物と同じように、現代の地球とほぼ同じです。
現存する種にプラスして、いくつかの亜種が生息しています。
やはり、植物のモンスターなども存在せず、「人食い巨大植物」や「歩く木」なんかは空想の産物とされています。もっとも、人々の目に触れないだけで、どこかに生息しているのかもしれません。


[文化]

地球の歴史で言うと「近代」にあたります。
「電気」は登場して間もなく、「電話」は直通有線のみで、「自動車」も薪たきかティーゼルのポンコツがあるかないか……どちらもほんの一握りの物好き&金持ちの所有物で、一般には名前すら知られていません。ガス・水道はそれなりに確立されていますが、普及率は低く、ほとんどの民衆は、まだまだ井戸と化石燃料にたよる生活を送っています。


[言語]

大きくは2体系に分けられます。北大陸はヴァル語、南大陸はグェイ語といわれる言語を話します。これは日本語と英語の違いの様なもので、読み書き共に違います。
また、ヴァル語は、話される地域(北大陸)が広大なこともあり、地方によって東ヴァル語・西ヴァル語、さらに細かい地域語が存在します。これは方言の様なものです。


[宗教]

地球の3大信仰のような絶対的な宗教は存在しません。
地域によって独自の信仰や宗教が根付いていますが、全世界共通で分布する教会や寺院はありません。これは、もともと存在していた「ラムバーダン信仰」という基盤が、最近100年で急に崩されたことが原因です。


[政治]

共和制・民主主義制の国家も存在しますが、ほとんどは王を頂く「王政」「専制君主制」です。「男女平等」の考えや「言論の自由」などという思想も、存在はあっても根付いてはいません。国家によっては、排他的ヒエラルキーに支配されているところもあります。


[産業]

「農業」がトップで、「漁業」「林業」「酪農」「軽工業」、離れて「重工業」と続きます。
重工業も、大がかりな鉄工所などはなく、せいぜいが造船所止まりです。もちろん発電所なども存在しません。


[流通]

国を挙げてという地域もありますが、ほとんどはユニオン(商業連合組合)が取り仕切っています。硬貨・紙幣取引も盛んで、非常に流動的です。
その硬貨ですが、この世界では「金」は非常に稀少な物質のため、金貨は存在しません。
銀貨・銅貨、紙幣に有価証券、それにルビーやラピスラズリなどの宝石を取り混ぜて「お金」として用いられています。
また、国家間の直接取引はほとんどありませんが、民間輸出・民間輸入という形で各貿易商達が頻繁に行っています。(これもユニオンの管轄下にあります)
もちろん、海を隔てた運搬手段は船オンリーなので、それを狙う海賊も出没するようです。


[余談:単位について]

本作では長さや重さの単位はオリジナルに定めてはいません。
「独自の単位では、読み手が文字からすぐに想像できない」というのが主な理由です。
「ファンタジーに、キロやメートルは嫌!」という方は、「本当は別の単位だが自動翻訳されている」と解釈して下さい。(既に、会話は日本語に変換されているわけですしね)
なお、通貨の単位は、現代でも多種多様であり、レートの混在に違和感がない為、オリジナルのものを用いています。