[ Introduction ]
本作の舞台である世界は、基本的には現代の地球と似た環境です。大気があり、水があり、太陽があり、1日は24時間、1年は365日です。
もちろん異世界ならではの違いもあります。中でも大きな相違点はふたつ……
まず、この世界は閉ざされています。
周りを磁気・電磁の嵐(磁竜巻の壁)が覆っていて、中外の出入りはできません。そのため、外の世界がどうなっているのかは誰も知りません。
もうひとつ、この世界の「月」は動きません。
正しくは、世界がある星と同じ速度で周回しているのですが、世界の住人から見るといつも同じ場所=世界の中心に浮かんでいるように見えます。また、地球の月のように満ち欠けはせず、自身の明滅によって周期を刻む〈恒星)でもあります。
こんな現実とは一寸離れた異世界――中でも、北大陸・ヴァルファラディアにあるバランゲル王国が本編の舞台となっています。