episodo-1 詐欺師と愉快な仲間たち!?
MEMORY 5 市に『蛇』有る、アルバイチ!? (2)
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「相部屋ー!」
 ほとんど絶叫に近い声量に、ギョッとして、フロントにいた他の宿泊客たちが一斉に振り返った。
『ちょ、ちょっと! 大きい声出さないでよっ』
 大慌てで、少女が声の発生源の臑を蹴りとばした。声を押さえつつもかなり強めの口調で、隣に立つ大男を一喝する。
『おかしな言い方しないでよ。ただのツインルームじゃない。だいたい寝室はふたつあるんだからそんなに問題ないでしょ?』
『……も、申し訳ありません……つい』
『申し訳アルもないもないのよっ、そう言う問題じゃなくて』
『申し訳ありません……』
『だからー!』
「あのぅー」
 全く小声になっていない2人の会話を遮って、居心地悪そうに係員が声を掛けた。
「302号室の鍵はこちらになっております……が……?」
「はいはい、どーも……」
 と、横からニュッと別の手が出て、完全にひいているフロントマンの手から鍵を毟り取る。
「――じゃあ。ま、そーゆーことで。三階だよ、な?」
 言いつつ、ノースは―こちらは完全に諦めた顔で――レナに、サングラス越しの目線を振った。
「あ。やだっ!」
 その合図でようやく泥沼な状況に気付き、レナは照れ笑いを浮かべる。
「あ〜ら、皆さま。どうもお騒がせしまして、申し訳ありませんっ。なぁーんでもございませんのよ……おほほほっ……」
 芝居掛かった仕草と、作りに作った笑顔。必死にその場を取り繕うとする。
 が、どっちにしろ、この凸凹な組み合わせでまともな素性構成が浮かぶはずもない。十分にまわりの視線は冷たかった。
  ともかく。ノースがヒョウを引っ張り、レナはアルの背中を突っついて、逃げるように階段を上がる。
 開け放しになっていた302号室に駆け込み、いささか乱暴に扉を閉め――、
 ガシャリ――。
 自動鍵が掛かったのを確認してから、ノースとレナは同時に嘆息した。
「なーんで、わざわざ目立つようなことすんのかねぇ……」
「ただでさえ一番目立つあなたが、目立ってどうするのよ」
「……面目ありません」
 馬鹿でかい図体を無理矢理に小さくし、アルが頭を垂れる。
 もっとも、彼はあくまで主人と仰ぐレナにだけ謝っているのであって、隣の――どこの馬の骨とも分からない、なおかつ得体すら知れない――下等生物に対しては、すまないなんてこれっぽっちも思っちゃいないのであった。
「もう! なんか余計にくたびれちゃったわ!」
 レナは、プリプリしながらベッドに腰を下ろすと、靴を放り、続けて薄手のハイソックスも脱ぎ捨てて――最後には、素足を投げ出した。
 そのおよそ令嬢とは思えないような振る舞いに、すかさずアルが――いかにもお目付役らしく――口を酸っぱくした。
「これっ! はしたないですぞ、姫!」
「うるさいわねー、疲れてるんだから大目に見てよ」
 と、こっちはこっちで口を尖らせている。
「アルだって疲れたでしょ? それに、昨日からあれだけ色々あったっていうのに、これで疲れてなかったら絶対変よ。あぁ、死んじゃうわ、私……」
 ハッキリ言って、屁理屈以外なにものでもないのだが、アルは納得したらしい。
 腕組みをして、考え込んだ。
「……それはまあ、そうですなぁ。さすがにこの私でも、この度の事は肉体的に厳しいものがありましたし。ひ……いや、お嬢様がお疲れになるのは至極もっともでしょう。現に、元気がある者など、ここにはひとりもおらぬことですしな」 
 が。
 ひとりいた。
「ねぇねぇ! ここって、ほてる!? ほてるぅ? オレ、かべとてんじょーが、どっちもあるとこでねるのはじめてー! あっ、あっちもへやがあるっ!」
「………………」
 言うまでもないが、ヒョウである。
 部屋中ちょこまかと走り回り、あれこれチェックしては、嬉しそうにしている。
 それを横目で追って、アルはあんぐりと口を開けた。レナも、唖然と呟く。
「……元気ねぇ」
「まあ。それが、唯一の取り柄っちゃあ取り柄だからな」
 と、ノースがほとんど投げやりな調子で口を挟む。そう言う彼は――というと、部屋の一角に置かれていた長椅子に倒れ込み、長くなっていた。
「俺なんかには、絶対真似できない芸当だぁね……」
 ぼやきながら、隣のテーブルに外したサングラスを乗せ、代わりに、置いてあった藁半紙を手に取る。
 観光客向けの案内なのだろう――安っぽいビラには、デカデカと、街の名所を紹介する文字が踊っていた。
「『アルバ観光協会監修、イチオシスポット』か……」
「あっ、そうだっ!」
 それを聞いて、何か思い出したのか――レナが両手を叩いた。
「さっき下で聞いたんだけど、今この街にすっごい占い師が来てるんだって。なんでも的中率百パーセントって評判らしいわよ。ねぇねぇ! すっごく興味ない?」
「占い師――?」
 ノースが胡散臭そうにレナを見返す――と思いきや、
「全然」
 たった二秒で、すぐさま手元のビラに視線を戻した。
「ふーん……。『掘り出し物ならココ。週に一度のアルバイチ!』ねぇ……。これって、観光の目玉になるようなことかぁ?」
 呟いて、首を捻る。
 アルバイチ――このアルバの街では、週末毎に大規模な『市』が立ち、それが、この陸路と海路の通過点に過ぎない街の、ほとんど唯一の観光名所、兼名物となっていた。
 要するに、『アルバ』の『イチ』だからアルバイチな訳だ。
 ところで、レナのお天気メーターは、再び悪天候に傾きつつあった。
「ちょっと! 何よ! ちゃんと聞いてるの!?」
 バタバタと足を振り、その度に、スカートの裾から綺麗な素足が見え隠れする。隣でアルが目のやり場に困っているが、当の本人に自覚は全くない。
「的中率百パーよ! 百パー!? 凄いと思わないの?」
「思わない」 
「どうしてよ?」
「どうして、ってなぁ……」
 ノースはゴロリと――横に寝返りをうって――レナに背を向けると、
「だいたい、未来を百パーセント予測するなんて、出来るわけないの。それに占いって、結局はどっちとも取れるよーなことしか言わないし。真に受けた奴が、後からそれっぽく解釈を変えただけのシロモンでしょ。どんな結果でも、全部『気の持ちよう』で済まされるしな……。そんなのにいちいち踊らされるってのも、どーかと思うけど?」
 言いながら、ビラを後ろ手でテーブルに放る――ビラは、まるで巻き戻したかのように、元の場所にピッタリ収まった。
 それを目で追ってから、レナは怒ったような、もしくは、困ったような顔になる。
「もう……またぁ? 本当っ、いちいち引っかかる言い方するわね。少しは人を思いやるとか、気を遣うだとかできないの?」
「……じゃ、気ィ遣って欲しいわけ?」
「そんなこと決まってるでしょ!」
「あ、そ……」
 思わず、フフンと、鼻で笑うノースである。
 背中を向けているので、表情までは分からなかったが、少なくてもレナには、それが自分を小馬鹿にした行動に見えたようである。
「もぅっ! いいわよっ! この石頭っ!」
 レナは、ヒステリックな怒鳴り声を発すると、弾いたように立ち上がった。
 アルを押し退け、続きの寝室に駆け込む。そして、蝶番が吹き飛ぶくらいの勢いで、扉を叩き閉めた。
 が、扉は閉まったと同時に開き――中から、ヒョウが血相変えて転がり出てきた。
 その後に、邪魔者を叩き出した本人が、顔を半分だけ覗かせる。
「ひ……ひめさま!?」
 アルが呆気に取られているのも束の間――。
 少女は、般若の形相で一同を見回してから、
「誰も入らないでよっ!」
 バタァン――!
 と、さっきよりキツイ音量を発てて、扉を閉じた。続いてガチャガチャという音――念入りなことに、鍵まで掛けたらしい。
「あーあ……」
 ノースは――そろりと扉の方を見て――嘆息した。
「困ったお嬢さんだね。ホント……」
 その彼のすぐ横では、ヒョウが、何が何だか分からない、という顔でキョロキョロしている。
 どうやら、勢い余ってここまで吹っ飛んできたらしい。
 そして。
「――こ、このっ! もう少し気を遣わぬか。馬鹿者っ!」
 こちらはまさしく鬼そのもので、アルが憤然と怒声を轟かせた。
「今度、姫様を傷つけるようなことをほざきおったらな、その減らず口を叩き落とすぞ。覚悟しておけっ!」
「あー、はいはい……」
 朴念仁なアルにしてみれば、相手を威嚇するには十分に足りる迫力だったのだが、相手は涼しい顔。
 ノースは片手を上げ、気楽な調子で返答する。
「分かりました。了解、了解」
「う……うむ。分かったな。ならばよい……」
 そのまったくの軽い態度に、顔を渋らせつつも――アルは、続き部屋の扉の前にどっかりと腰を下ろした。胡座を構き、周囲に睨みをきかせる。
「それでは、私はここで見張る事とするぞ。くれぐれも妙な考えなど起こさぬようにな!」
「はぁ……」
 妙な考えを起こしてるのは、あんたの方なんじゃないか?――などと思ったりもしたが。
 しかし、まぁ。反対する理由も別にない。
「好きにすれば?」
 そう言うと、ノースは、眠気が混じったような重い息を吐いた。

 ちょうどその頃。
 とっぷりと暮れた港では、まだ船荷の積み降ろしを行っている船が残っていた。
 数人の船員たちが、滑車とクレーンを使って、巨大な木箱を人力で船から降ろしている。
 木箱は、大人が、五、六人は入れるほどのサイズで、見るからに重量がありそうであった。
 日光や潮風で傷むのを防ぐため黒く塗り固められた外側に、松明の炎が反射して、慎重に作業を進める船員の顔を照らしている。
「オーライ、オーライ!」
「おい! そっちもしっかり押さえとけよっ!」
 手慣れた仕事とはいえ、常に危険が伴う作業である。
 船員たちの表情は真剣そのもので、全員がびっしょりと汗を構いていた――怠惰に不平を漏らす者など、もちろんひとりもいない。
「よーし、そのまま下げてくれ」
 と、下で荷物を待つ船員が手を挙げた――途端。 宙に浮いた箱が、わずかに傾いた。
「――――!!」
 甲板で、綱巻きのハンドルを握っていた船員が、青ざめる。 が、彼が異常を知らせる間もなく――、
 次の瞬間。
 ロープが切れ、重い木箱は、バランスを失って地面へと真っ逆さまに落下した。
 ズガァン――!
「ギャアッ!」
 鈍い音と短い悲鳴とがほぼ同時に上がり、それぞれの作業に就いていた他の船員たちが振り返る。
 全員――一瞬何が起こったのか理解できず棒立ち状態でいたが、半壊した木箱の下に仲間の姿を認めると、すぐさま瓦礫を取り除きにかかった。
「大丈夫か!? しっかりしろ!」
「おいお前、ボサッと見てないで手伝え!」
「担架だ! 誰か担架持って来いっ」
 幸いにも――救助が迅速に行われたためか――不遇の災難に見舞われた船員も、命に別状はなかった。しかし、大怪我を負って運ばれて行く。
 おそらく、当分の間は、仕事どころか表を出歩くことすら無理であろう。
「お……おい。あいつ……」
「あ、あぁ――」
 一連の様子を見守っていた数人の船員たちが、恐る恐る顔を見合わせた。
「あいつ、昼間、あの占い師に占ってもらったよな?」
「あぁ……。仕事中に怪我するから今日は休んだ方がいい、とか言われてたぜ……」
「当たったな……」
「当たったぜ……」
「これで、仲間内だけでも、十件は当たったってことだよなぁ?」
 実は、この件以外にも、占い師に事故や災難を告知されていた者が、忠告を聞かずに負傷したり、逆に用心したため未然に防げた――という事例がいくつもあったのだ。
「オイッ! やっぱり当たるんだよ。あの占い!」
「お、俺……やっぱり占ってもらおうかな……」
「俺もっ!」
 船員たちは口々に叫ぶと、残りの積み荷を放っぽり出して、ある方向へと駆け出していった。
 後には、半壊した木箱と、周囲にぶちまかれた中身だけが取り残される。
 その――木箱を吊っていたロープが、不自然な切り口で千切れていることに気付く者など、もちろん誰もいなかった。

 そして、一方。
 街の中央にあるタイル張りの広場――通称〈女神の広場〉――に、こぢんまりとした天幕が立っていた。
 天幕には人々が大挙して押し寄せており、順番待ちの列は、広場をぐるりと一周するほどに長く延びている。
 疾うに日は落ち、まわりの商店も店じまいを終えたというのに、その長蛇の列は途絶える気配がなかった。
 並んでいる者たちは、それぞれ期待と不安が入り交じった複雑な表情をしている。
 最前列は、貿易商風の――しかしかなり冴えない――小太りな中年男で、落ち着きなくその場を行ったり来たりしていた。 
 と。
「次の方、どうぞ―」
 テントの中から、涼やかな声が掛かった。
「ひゃ、はいっ!」
 同時に、男の背筋が数センチ伸びる。
 男は、声をうわずらせて返事をすると、落ち着きのない足取りでテントの中に入った。
「し、失礼します……」
 狭いテントは、男ともうひとりとで定員だった。あとは、せいぜい真ん中に小さなテーブルひとつを置くぐらいのスペースしかない。
 もっとも男にとってみれば、目の前の人物さえいればそれで十分であり、関係ない人間に話を聞かれる心配がない分、この方が好都合だった。
「どうぞ。お掛け下さい、ベルナー様」
「ひゃ、いや、はい……どうも……」
 名乗ってもいない名前を言い当てられ、ベルナーと呼ばれた男は、それだけですっかり舞い上がってしまった。緊張の余り、顔を真っ赤にしては、ペコペコと頭を下げる。
 理由もなく慌てふためく様は、彼自身かなり間が抜けていて――笑われるかなと、男はなおさら顔を赤くしたが、テントに鎮座する人物は、吹き出すどころか、ほんの少し唇の端を上げることすらしなかった。
 男が折りたたみ椅子に腰かけると同時に、テントの主――女占い師は静かに顔を上げる。
 ウェーブがかかった長い黒髪に、陶磁のように滑らかな白い肌。そして憂いに満ちた表情。
 なおかつ、ルビーのように静かに瞬く瞳と、両目を縁どる長い睫毛とが、彼女に繊細な印象を与えていた。
「迷える御人よ……今宵はどのような未来を求めていらしたのですか?」
 占い師は、薄い唇をそっと開いて、鈴の音にも似た声を響かせる。その声は、さながら実体のない波紋のようであり、聞く者の夢と現とを錯綜させた。
「あの……たいしたことじゃないんですけど……」
 と、もじもじしながらベルナー氏。
「明日の、市での客の入りを占って欲しいんです」
「わかりました。では少し明日を覗いてみることにしましょう……」
 占い師は頷くと、テーブルの上に乗せられた鏡に手をかざした。
 どうやら、彼女が望むと鏡に未来の映像が浮かび上がるという仕組みらしい――無論、その映像は彼女の目にしか投影されることはない。
 そうして数分の間。
 占い師は、何やら呪文のようなものも交えつつ、占いの儀式を行っていたのだが――、
「あぁ!」
 不意に、短く叫んだかと思うと、テーブルに伏し倒れた。
 ガシャン――
 彼女の手から放たれた鏡が、床に叩きつけられ、独特の破壊音を立てる。粉々に砕け散った鏡面が、辺りに散乱した。
「!?――ど、どうなさいましたっ!」
 仰天して、ベルナーは占い師の意外に肉付きのいい両肩を掴むと、乱暴に揺さぶった。
「大丈夫ですか? アストラルさんっ! しっかりして下さい!」
 幸い何事もなかったようで、占い師――アストラルはすぐに目を覚ました。額に汗を滲ませ、よろよろと体を起す。
「だ、大丈夫です……」
 ふらつきながらも、肩に触れる中年男の手を強引とも思える仕草で振り払い、額に張り付いた髪を掻き上げて、視線を逸らした。
「申し訳ありません……失礼致しました……」
「本当に大丈夫ですか? もしかして占いが上手く行かなかったとか……?」
 と、ベルナー氏。あくまでも自分の占いの結果の方が気になる様子である。
「大丈夫です。ただ――」
 と、アストラル。心配そうに顔を覗き込む男に微苦笑を返すと、少し言いにくそうな表情を作って瞳を曇らせた。
「……御望みの……明日の市の映像を見ていたら、恐ろしくなってしまって……」
「え!? どういうことなんです? ま、まさか客が一人も来ないとかっ?」
「いえ……」
 そんなつまんない映像で卒倒するわけないでしょ――と思ったかどうか。
 アストラルは胸を押さえ、苦しげに呟いた。
「明日――市に魔物が現れます……薄紫の瞳を持ち、人の姿に化生した悪魔です。この魔物がアルバを滅亡へと導くやも知れません」
「な、なんですって! ほ、本当ですかっ! そんな、まさか……」
 ベルナーが身を乗り出すと、アルトラルは首を振った。
「残念ながら……私の見た未来では、この街が炎に包まれていく映像がありました……」
「な、な、なんとか防ぐ方法はないのですかっ!?」
 怯えた表情で訴える中年男。
 アストラルは静かに頷き、男の耳元に口を持っていくと、諭すように囁いた。
「――その魔物を一刻も早く捕え、処刑するべきです……それ以外に災いを絶つ方法はありません」
「たたた、大変だぁ!」
 と、ベルナー氏。血相を変え、立ち上がる。彼があまりに勢いよく立ったので、椅子はロケット花火の如く、テントの外にまで吹っ飛んだ。
「すぐに街の連中にも知らせないと!」
 その言葉に、アストラルも相槌を打ち、
「それがよろしいでしょう……事は一刻を争います。お代は結構ですから、早くひとりでも多くの方にお伝え下さい」
 そう言うと彼女は――美人占い師には不釣り合いな――不敵な笑みを浮かべた。
 しかし、混乱し、すっかり物事の分別がつかなくなっているベルナーが、そんなことに気が付く訳もない。
「ありがとうございます! アストラルさん、あなたのおかげできっと町は救われますよ」
 ぺこりと頭を下げたかと思うと、大慌てでテントを飛び出して行った。
「いえ……」
 と、アストラル。
「私の方こそ助かりますよ……」
 ひとり、テントの中で静かに微笑む。
 血のように紅い唇を歪めて、確かにほくそ笑んだ。
「……あなたがたが、うまくやってさえくれればね……ふふふ……」
 その間にも、話は行列へと飛び火し、〈女神の広場〉はにわかに騒がしくなっていく。
「ふっ……ふふふふっ……」
 占い師は笑い続けている。 未来のことは、誰にも――占い師アストラルにも分からないが――、
 確実に、明日のアルバイチは、嵐の到来が予感された。

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